遺産分割に関する新たなルール
前回からの続きですが、相続が発生してから、取り敢えず、現金や預貯金だけを相続人
で分けて、不動産は後で分けようとしていて、結局分けずにそのままのしている場合が非
常に多く見受けられます。
今までは何もペナルティがなかったし、後で決めようと先延ばし(その不動産が必要で
あれば先延ばしはしませんが)したために、共有名義にすらしないで、被相続人の名義の
ままにしておくことが、多かったのです。
なぜそのようなことが発生するかというと、昔は結婚した子どもの世帯と親世帯が同居
する大家族の形態が多くみられましたが、近年は、都市部への人口の集中などで、核家族
化が進んでおり、そのため、すでに自分の家を持っている子ども世代は、親の家を欲しが
らないのです。
※核家族=「夫婦のみ」「夫婦と未婚の子ども」「ひとり親と未婚の子ども」からなる
小家族の世帯を指します。なお、「一人暮らし(単身世帯)」は、核家族に含まれません
。
新たなルールはどんなもの?
相続が発生しているのもかかわらず、遺産分割がされないまま長期間放置されると、さ
らに次の相続(相続人が被相続人となる)が発生して、多数の相続人による共有状態とな
り、誰が相続人かということすら分からなくなることになります。
遺産分割をする際には、法律で定められた相続分(法定相続分)等を基本としつつ、個
別の事情を(例えば、生前に贈与を受けたことや被相続人の介護等をしたこと)を考慮し
た具体的な相続分を算定するのが一般的です。しかし、時間の経過とともに、それらを証
明する証拠がなくなってしまい、さらに遺産分割をすることが難しくなっています。
そこで遺産分割がされずに長期間経過後の遺産分割のルールが新たに設けられました。
被相続人の死亡から10年を経過した後にする遺産分割は、原則として、具体的相続分
を考慮せず、法定相続分によって画一的に行うこととされました。
共有制度の見直し
共有状態にある不動産について、所在不明の共有者がいる場合や意思決定をすることが
できずに処分することができなかった不動産が、制度の見直しのより、これまで動かなか
った不動産がようやく動き出すようになりそうです。
今までは、共有者全員の同意が必要でしたので、所在不明者がいる場合、何もすること
ができませんでした。
今回の見直しにより、所在不明者がいる場合には、他の共有者は、その所在不明者の許
可を得ずして行動することができるようになりました。
共有物を利用しやすくするための見直し
①共有物につき軽微な変更をするために必要な要件が緩和され、持分の過半数で決定可と
なりました。
②所在等が不明な共有者がいる場合には、他の共有者は、地方裁判所に申し立て、その決
定を得て、
・残りの共有者持分の過半数で、管理行為(例:共有者の中から使用者を1人に決める
こと)ができます。
・残りの共有者全員の同意で、変更行為(例:農地を宅地に造成すること)ができます
。
共有関係の解消をしやすくするための新たな仕組みの導入
所在等が不明な共有者がいる場合には、他の共有者は、地方裁判所に申し立て、その決
定を得て、所在等が不明な共有者の持分を取得したり、その持分を含めて不動産全体を第
三者に譲渡することができます。ただし裁判所において、持分に応じた時価相当額の金銭
の供託が必要になります。
(2024/07/07)
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