家族信託の実例2
今回も、2つの図をじっくりと見てください。
ケース3
共有不動産のトラブル回避
皆さんのご家庭では、自宅不動産は誰の所有になっているでしょうか。図のように、家族で共有していませんか?
以前は、すべてお父さん名義にしてましたが、最近ではお母さんや息子・娘と共有にしている方が増えています。また、預貯金もお父さんだけでなくお母さんの口座を作って分けています。それは、お父さんの優しさの表れであり、素晴らしいい考え方です。
しかし、一つ問題があります。お母さんが認知症や脳血管疾患等で意思判断能力がなくなった場合です。その場合、自宅は共有不動産なので、売買等は全員の一致した意見が必要になります。一人でも認知症等の方がいらっしゃると、その不動産は売ることは出来なくなってしまいます。また、預貯金を二人で分けている場合、お母さんの名義は手を付けられません。
その場合、お母さんの病院への支払いや、施設への入所費等をご家族が肩代わりしなければなりません。
しかし、残された息子、娘の年齢が40歳代~50歳代であれば」、まだ住宅ローンが残っていて、肩代わりするような余裕はないでしょう。
いよいよ工面することができなくなると、お母さんに後見人を付けて、不動産を売ることになるでしょう。その後見人に息子さん、娘さんがなれればいいのですが、何らかの事情があって、後見人になれない場合、職業後見人を付けざるを得ません。
たった一度の不動産売却、預貯金の引き下ろしのために、亡くなるまで後見人を付けなければなりません。
このケースは決して少ないとは言えないと思います。自宅の共有や預貯金を分けることは決して少ないとは言えません。多くの家庭で行っています。
対策
親の意思判断能力があるうちに、親が自分の持ち分や預金口座を委託者(財産を持つ者)・受益者(財産を管理してもらったことで利益を得る権利を持つ者)とし、自分の子を受託者(財産を管理・運営する者)として、管理を託す契約(家族信託契約)をしていれば、例え、親が認知症になってしまっても、管理を託された子が手続きをすれば、その自宅を処分・活用することが法律上できるのです。
ケース4
家督相続と孫への資産承継
家督相続というのは、旧民法で戸主の地位とその財産を単独で相続すること、及びその制度のことで、通常戸主の長男がこれを相続していました。この制度も昭和22年の民法改正で廃止されました。
ですが、そういった制度がなくなった後でも、農業や事業をしている家庭では、まだそういった制度的なことを続けていることがあります。
お父さんは長男と一緒に暮らしている。
長男夫婦には子供がいない。
次男夫婦には子供がおり、お父さんは先祖代々の土地や事業を孫に継いでもらいたいと
思っている。
しかし、お父さんが亡くなった後、長男と次男が1/2づつで分けたとしても、長男がその妻より先に亡くなって、何もしてなければ、長男の財産は妻側の一族にいってしまいます。
普通の財産であればそれでもいいのですが、財産内容によっては、共有が発生したりして、嫁の一族が絡んできて複雑なことになることが予想されます。。
対策
家族信託を利用して、お父さんを委託者、孫を受託者とし、
第一受益者をお父さん
第二受益者を長男(お父さんがなくなった場合①)
第三受益者を長男の妻(長男がなくなった場合②)
残余財産の指定先を、孫(長男の妻がなくなった場合③)
とします。
これにより、民法上の規定とは異なり、長男の妻の他界後は、孫に財産が継承されるように指定ができるのが、家族信託の大きな特徴です。
これを「受益者連続信託」と言います。
(2023/11/16)
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