相続の基本

遺留分

 遺言書は亡くなった方の強力な意思のメッセージです。

 しかし、被相続人に遺産に対して完全な自由を認めてしまえば、相続人が最低限の遺産すら確保できないというケースが生まれてしまいます。

 しかし、残された遺族の生活保護も守らなければなりません。それで遺留分です。

 

 例え遺言書に書かれていなくても、最低限相続できる割合のことです。

 

 被相続人(財産を残す人)が遺言書を書いていて、そこに特定の人に財産のすべてを残すと書いていた場合、被相続人の書いていることは尊重しなければなりませんが、他の法定相続人(相続をする権利がある人)にも相続を受ける権利があります。

 

 そこで遺留分です。遺留分とは、法定相続人(兄弟姉妹以外)に認められた最低限の遺産取得分のことで、遺言よりも優先されます。

 民法は、被相続人と密接な関係のある人を法定相続人と定めて遺産相続をさせることにより、なるべく被相続人に近かった人が遺産を引き継げるように配慮していますが、反面、被相続人自身の意思も尊重しなければならないので、遺言や贈与によって財産を処分する自由も認めています。

 しかし、完全な自由が認められてしまったら、相続人の期待があまりに裏切られてしまうので、法律は、一定の範囲の近しい相続人に遺留分を認めたのです。

 

 例えば、「すべての財産を○○に贈与する」という遺言があっても、配偶者及びご子息はある割合の遺産をもらう権利を持っています。

 法定相続人が遺留分減殺請求をすれば法定相続分の1/2を請求することができるのです(法定相続人が父母だけの場合は1/3)。これが遺留分です。ただし、遺留分は請求しなければ認められません。当然にもらえるものだと思っていても、請求しなければなにも起こりません。しかし、難しいことをする必要はなく、相手方に「請求」をすればいいのです。証拠を残すために「内容証明郵便」を使って請求しましょう。

 その遺留分の割合は、「直系尊属(実の父母)のみが法定相続人になる場合には、3分の1、それ以外の場合は2分の1」(民法1028条)と決められています。

 つまり、配偶者は1/2×1/2=1/4、子供が2人いる場合は、それぞれ1/4×1/2=1/8を請求することができるのです。

 この一定の範囲の法定相続人ですが、配偶者と直系の子や親のことを言い、第3順位の兄弟姉妹は入っていません。

 

 遺留分を請求した者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることが出来るようになります。しかし、遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することが出来るとは限りません。その場合、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることが出来ます。

 これは、不動産だけをもらった人が、遺留分を請求されても金銭をもらっていないので、自分自身に金銭の余裕がなければ払うことができません。今後も金銭の余裕が生まれてこなければ、結局その不動産を売らざるを得ないかもしれません。そのために、裁判所に支払期限の猶予を求めるのです。

 

 この遺留分侵害額請求権は、「相続開始と遺留分侵害の事実」を知ってから「1年以内」に遺留分を請求する必要があります。

 「納得できない」等不満があるのであれば、この1年以内に話し合いを持ちましょう。

 

法定相続人 法定相続分 遺留分
1/2 1/4
1/2 1/4
     
2/3 2/6
父母 1/3 1/6
     
3/4 1/2
兄弟姉妹 1/4 なし
     
全部 1/2
     
全部 1/2
     
父母 全部 1/3
     
兄弟姉妹 全部 なし

遺留分制度の改正(2019年7月1日施行)

 遺留分を請求された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることが出来るようになります。しかし、遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することが出来るとは限りません。その場合、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることが出来ます。

 

遺留分請求できない人

 遺留分請求ができない人はどういった人でしょう。

 

兄弟姉妹

 兄弟姉妹が相続人になっている場合には、遺留分の請求が認められません。

 兄弟姉妹は子供、親に次ぐ第三順位の法定相続人ですが、子供や親といった直系の親族と比較すると、被相続人との関係が薄いためです。

 

相続放棄した人

 当然といえば当然ですが、相続放棄をした人についても、遺留分は認められません。

 

 ※相続放棄とは、遺産相続をしない人です。この場合、預貯金などのプラス財産だけでなく、借金その他の負債も一切相続しません。家庭裁判所に相続放棄の申述をすることです。

 これにより、その人は始めから相続人でなかったことになるので、この相続の一切の権利を失い、遺留分も認められなくなります。

 

 相続放棄をした場合、その人は始めから相続人ではなかったということになるので、代襲相続も発生しません。例えば、子どもが相続放棄をした場合、孫が代襲相続することはなく、孫にも遺留分請求をすることは認められていません。

 

相続欠格者

 相続欠格者も遺留分の請求が認められません。

 

 ※相続欠格者の要件は、

 ・相続人が被相続人や同順位以上の相続人を殺害して有罪となった

 ・相続人が、被相続人の殺害を知っても刑事告訴しなかった

 ・相続人が被相続人に無理やり遺言書を書かせ、又は訂正させた

 ・相続人が遺言を隠した、または処分した

 

 これらにあてはまる場合、何もしなくても相続人は当然相続欠格者となります。相続欠格者になったら、その人は遺産を相続できなくなるので、遺留分も請求することはできません。

 ただ、相続欠格者の場合は、欠格事由はその人固有の問題ですので、代襲相続は起こります。

 

相続人廃除された人

 相続人として廃除された人です。相続人の廃除とは、著しい非行があった場合に、その相続人から相続権を奪うことです。

 ※相続人廃除の要件

 ・相続人が被相続人に虐待行為や重大な侮辱行為をした場合

 ・推定相続人に著しい非行があった場合

 

 これら、相続人の廃除は、当然に認められるものではありません。

 相続人自身が、特定の相続人を廃除する意思をもって、家庭裁判所に推定相続人廃除の申立てをする必要があります。家庭裁判所で廃除が認められたら、審判所が送付されてきます。それを市町村役場に持って行って相続人の廃除を行います。

 

(2021/10/09)更新

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