契約書

契約書を作成する主な利点

(1)契約事項の証明(後日の紛争の防止)

 契約書を作成する一番の利点は、契約事項の明確化により、後日の紛争防止です。

 契約内容について問題が生じた場合、契約書に書かれた条項が有力な証拠となります。

 例

 売買契約において、代金の額、代金の支払い時期、目的物の引き渡し時期、契約の解除事由などは、これらの契約条項を定めることで、後日の紛争が生じることを防ぐことができるのです。

(2)当事者が変わったときにおける契約の円滑な履行

 契約者が変わった場合、契約書が存在すれば、後継者が速やかに契約事項を把握でき、相手方当事者と適切な対応を取ることができ、契約の履行が円滑にできるのです。

 

契約の種類

賃貸借契約

 賃貸借契約とは、マンション・アパート等の賃貸物件を貸し借りする際に、貸主と借主の間で締結する契約のことです。

 具体的には、貸主がある賃借物(貸し借りの対象となるもの)を借主に使用・収益させることを約束し、その代わりに借主が貸主に賃料を支払うことを取り決める契約のことである。 

 

売買契約

 売買契約とは、当事者の一方(売主)が、ある財産権を相手側(買主)に移転することを約し、相手がこれに代金を支払うことを約する契約を言います。

 売買契約は、売主が売買物件の所有権を移転し、買主が代金の支払いをすることを要素としますが、一般に契約書では、紛争防止の観点から、売買物件の特定、代金支払いの定めから、代金の支払い時期、物件の所有権移転の時期、物件の引渡時期等を定めます。

 

贈与契約

 贈与契約とは、当事者の一方(贈与者)が財産を無償で相手方(受贈者)に与えることを内容とする契約です。

 

業務委託契約

 委託された業務を行って報酬を得るという形態の契約を業務委託契約や請負契約と言います。

 業務委託契約には、コンサルタント業務、商品販売業務、警備業務、不動産管理業務など多岐にわたります。

 業務委託契約は、委託された業務の内容に従って、当事者の一方(請負者)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を支払う内容の業務委託契約が「請負」であり、また、当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方(受任者)に委任し、相手方がこれを行うことを内容とする業務委託契約が「委任」であると、理解されています。

 

債権譲渡契約

 債権譲渡契約とは、債権の同一性を失わせることなく移転する旧債権者(譲渡人)と新債権者(譲受人)との契約です。

 債権譲渡は、主に債権の売買や贈与として行われることが多いと思われます。

 

債務引受契約

 債務引受契約は、債務が同一性を保持したまま、債権者が変動する契約を言います。

 

株式譲渡契約

 株式譲渡契約は、株式会社の株式の所有者が当該株式を他の者に譲渡する契約のことをであり、個人間、個人・会社間、会社間で行われる。

 企業買収に手段として、合併、事業譲渡等が代表的ですが、特に非上場企業においては、株式譲渡が最も簡便な手段として多く使われています。

 

事業譲渡契約

 事業譲渡契約とは、一定の事業目的のために組織化され、有機的一体として機能する財産をたに譲渡する契約です。

 

秘密保持契約

 秘密保持契約は、企業間の合併契約、事業譲渡契約、事業提携契約、共同開発契約等の締結を検討するに先立って、当該検討に必要な秘密情報を相互に相手方に開示する必要があることから、締結されることが多いです。

 

金銭貸借契約(消費貸借契約)

 消費貸借契約は、①貸主が金銭等の目的物を引き渡すことを約し、他方②借主が受け取った物と種類等の同じものを返還することを約することによって効力が生じます。

 

金銭貸借契約(準消費貸借契約)

 準消費貸借契約は、金銭その他の物を給付する義務を負っている場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを合意したときは、これによって消費貸借が成立したものとみなされることを言います。

 

金銭貸借契約(債務弁済契約)

 債務弁済契約は、元来債務者が債権者に対して、契約・不法行為等によって生じた債務を承認し、その弁済を約する契約です。