遺言を書く目的

 遺言を書く目的ですが、日本の相続では、不動産と預貯金が考えられるのですが、不動

産の割合が高いと、法定相続分で分けられない可能性が生じます。そうなると、不動産を

共有名義にしなくてはなりません。その不動産を売るという合意があれば、一時的に共有

化してもよいのですが、その不動産を誰か一人でも活用したいという相続人がいるのであ

れば、相続の共有化はのちのトラブルの種となる可能性があります。そういったトラブル

を防ぐ目的で、遺言書を書くことは有意義と言えるでしょう。例えトラブルになる可能性

があったとしても、その財産の持ち主である親が決めたことは、大抵は従うでしょう。目

的の第一は、法定相続と異なる配分をしたい場合です。

 目的の第二は、遺産の種類や数が多い場合、ほぼ法定相続分であったとしても、誰が何

を取得するかがまとまらない場合があります。不動産を持っているが、その不動産は一律

ではありません。ほしい不動産と、欲しくない不動産がどうしても出てきます。そういっ

た場合も、遺言で指定しておけば、紛争防止に役立ちます。

 目的の第三は、推定相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹のときに、相続が果たして円

満に進むかどうかということで、シンプルに配偶者一人に相続させたい場合です。この場

合、遺言を書くことで、兄弟姉妹には遺留分がありませんので、配偶者が100%相続出来

ます。子がいない場合、全て配偶者が相続できると勘違いされている方を多く見受けられ

ますが、そうではありません。

 目的の第四は、農業や個人事業主などのように、相続により資産が分散しては経営や事

業が成り立たなくなる恐れがある場合にも、遺言は有効です。

目的の第五は、以下のような推定相続人以外の人へ遺産を配分したい場合、遺言を書か

ないと100%配分は無理です。

(1) 長男(息子)の嫁

(2) 内縁の配偶者

(3) 第一順位でない相続人

(4) 看病ししてくれた人(相続人以外)や団体(宗教団体、政党)

(5) 公共団体への寄付(市区町村、自治会)

 目的の第六は、遺言があった方が相続が円満に行われると思われる場合。

(1) 推定相続人の中に行方不明者や浪費者がいる場合

(2) 推定相続人同士の仲が悪い場合

(3) 先妻との間に子があり、後妻がある場合

(4) 一人で生活している場合

(5) 愛人との間に子がいる場合

 

 

 配偶者は常に相続人です。まず、直系卑属(子や孫)が第1順位の相続人です。そし

て直系卑属がいない場合、第2順位である直系尊属(父・母、祖父・祖母、)に移ります

。第2順位もいない場合、兄弟姉妹である第3順位に移ります。

問題になるのが、被相続人の前妻の間に子がいる場合です。別れた元配偶者は相続権は

ないのですが、子には相続権があり、相続人になります。

 もう一点、子のいない夫婦で(親もいない場合)相続は配偶者だけだと勘違いされてい

る方が多いのですが、その場合、第3順位の相続人(被相続人の兄弟姉妹や甥姪)が相続

人となります。第3順位の傍系血族は、親戚と言えど甥姪など知らない人が出てくること

があり、配分に一苦労します。

 さらに大きな問題として、被相続人が負債を抱えていた場合、前順位の相続人がすべて

が相続放棄をしたら、次の順位の相続人が相続人となります。相続放棄に関して事前に知

らされていなかった場合、「債権者からの連絡によって自分が相続人になっていることを

知った。いきなり借金を背負わせられるなんて」となることもよくあることです。

 相続放棄をするかどうかは、相続人が自由に判断できるので相続放棄をしたことを他の

相続人に伝える義務もありません。しかし、迷惑が及ぶことを想定して、相続放棄をする

旨をあらかじめ後順位の相続人に伝えておくのがよいでしょう。

 

 それぞれの相続分については、次回述べさせていただきます。

(2023/11/02)

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