昨年7/9号で遺言の話をさせていただきました。
私が投稿している終活の主な行動の一つが遺言です。ところがその遺言は、この日本において普及率11%弱だと言われています。テレビドラマで遺言の話が出ると、大抵は大金持ちの家庭の話で、その財産をめぐって争う内容がほとんどです。そのため、遺言=金持ち、というイメージが付いて回り、私達庶民には関係ないものとの認識を持ってしまっているのです。
本当にそうなのでしょうか?今回より何回かに分けて、遺言に関してのコラムを書かせていただきます。「知ってるよ」と言わず、一から遺言のことを学びましょう。もしかして、知らないことが書かれているかも?
遺言ってなに?
「遺言」とは、被相続人(遺言者)が自分の財産について、誰に何をどれだけ残したいのかを示す最終の意思表示です。
ちなみに、遺言は一般的には「ゆいごん」と読みますが、法律用語では「いごん」と読みます。
遺言を書面にしたものが「遺言書」です。遺言書があれば、原則としてその内容通りに遺産を分割することになっており、相続人間の争いが起こりにくく、相続財産の換金や売却などもスムーズにできます。
また、遺言書を作成すれば、遺産を法定相続人だけでなく、自分が財産をあげたいと思う人に残すことや、寄付をすることもできます。例えば、介護をしてくれた(相続人ではない)長男の嫁に財産を残すこともできるし、(相続人ではない)内縁の妻に財産を残すこともできます。遺言書がないと、相続人でない方に財産が行くことはほぼないでしょう。
遺言の利用状況
実際に遺言を書く人は、どれくらいいるのでしょうか?
日本公証人連合会が公表している統計資料によれば、令和元年に全国で作成された遺言公正証書は、11万3,137件です。同じく令和元年度に亡くなった方の数は138万人ですので、公正証書遺言を書いた人の割合は、8%程度と言えます。自筆証書遺言については、「司法統計年報」で公表されている「遺言書の検認件数」(公正証書遺言以外は裁判所の検認が必要です)が令和元年度件数の18,625件で、作成件数を示す統計はないのですが、遺言書を法務局で保管する「遺言書保管制度」の利用者は1万8000件でしたので、これを合わせても全体の10.9%であり、遺言の普及率は、10人に1人程度という状況です。
それでは、海外ではどうなっているのかというと、アメリカでの遺言の普及率は、50%と言われています。
アメリカでは、遺言書が残ってないと、財産はいったん州政府が管理し、分割するには高額な手数料がかかるらしく、この高額な手数料を払うのが嫌なので、遺言書を書いているというのが事実のようです。ところが、日本では、遺言がなくても、法定相続人※に法定相続分※があり、遺言書がなくても、財産は、相続人の方に分配される(希望の財産かどうかはわかりません)のです。
なぜ、日本では遺言書が普及しないのか?
【理由その1 戸籍制度が発達】
日本では戸籍謄本を調べていけば、人の死亡から誕生までのその人の家族関係を調べることができます。相続人も被相続人(亡くなった方)との関係がそれでわかります。そうすると、取り敢えず財産は家族のもとへ渡るので、書かなければならないという意識が働かないのでしょう。ところが、欧米諸国では、戸籍という制度がないため、亡くなった方との関係を証明することが難しいの、遺言書を書かないと財産を渡すことができにくいので、遺言書を書いているという状態です。
【理由その2 戦前の家督制度の影響】
戦前は、戸主が亡くなると、長男が全ての財産や権利を継ぐのが原則でした。その制度があったため、まだ、長男偏重的になってしまう体質が残っています。その制度がなくなった今も、新しい民法のにおいても、この制度に近い相続を行っている家族経営の事業者や農家(農業従事者)の方がまだいらっしゃるのです。自分が亡くなったら、財産は長男にいくと思っている方が、まだ多いのが現実です。
だから、この現実を知っていただき、書かないとこうなるということを知っていただき、書くことで、こんな素晴らしいことができるということを今後コラムで書いていこうと思っています。
※法定相続人、法定相続分は次回以降説明
(2023/11/02)
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