「親なきあと」問題の現状
内閣府が発行している「令和6年度版障害者白書」によれば、障害者の数は、
身体障碍者 436万人
知的障害者 109.4万人
精神障害者 614.8万人
とななっています。
これを人口千人当たりの人数でみると、身体障害者は34人、知的障害者は9人、精神障害者は49人となっています。複数の障害を併せ持つ者もいるため、単純な合計にはならないものの、国民のおよそ9.2%が何らかの障害を有していることになります。
このうち「親なきあと」の課題を抱えるのは主に知的障害者と精神障害者なので、これは国民の約5.9%にあたります。
「親なきあと」は、特に知的障害の子を抱える親たちにとっては、以前からある課題でした。その親たちから「子供より一日でも長く生きる」という声を聞きます。
つまり、自分たちが亡くなったら、子はどう生きてゆけばよいのかがわからないからです。
「親なきあと」の課題
・お金で困らないようにするために準備をどうするか
障がいのある子がいる親の多くは、親なきあとも子どもが生活していくためには、どれくらいのお金を残せばいいのかという不安を抱えています。しかし、金額よりも大切なのは、残したお金が本人の生活のために使われる仕組みになっているかです。
つまり、お金を残したとしても本人のために使うお金の管理ができていなければ意味がありません。お金の残し方と、そのお金の管理の仕方の両面から考えておく必要があるのです。
お金の残し方としては、残った家族に争いが起きないように、親は遺言を書いておくことが重要です。
また遺産相続により、障がいのある子がいきなり大金を手にして、誤った使い方をしないようにしなければなりません。それを避ける方法として、信託の仕組みを利用すれば、親が残したお金から定期的に一定額を子どもに渡してもらうことができます。
信託は、障がいのある子の生活を支えるために非常に有効な仕組みたと思います。特にある程度自分でお金を扱うことのできる方は、周囲の誘惑についのってしまう、あるいは欲しいものを将来の見通しなく買ってしまい、結果的に親が残した財産を短期間のうちに使い切ってしまうというリスクがあります。
あまり知られていませんが、法律の改正により家族信託が利用しやすくなったことで、2つの点が注目されています。
1つ目が、信託した財産は子どもが必要なときに必要な分だけ給付してもらえること。
2つ目が、子どもが亡くなった後に、まだ財産が残っていたら、そのお金を寄付する先も信託契約で子ではなく親が決めることができること。
お金を管理する仕組みとしてよく知られているものとして、成年後見制度があります。しかし、「成年後見制度は障がいのある子に向いていない」といわれています。その最大の理由は、成年後見制度を一度始めたら、本人が亡くなるまでやめられないということです。これについていくつも問題があります。その最大の問題点が、後見にかかわる費用です。障害基礎年金等をもらっても、そこから後見人や後見監督人の報酬等に流れてしまうのです。
また、この制度は、2年前に国連から「日本の成年後見制度は差別的である」という不名誉な勧告も受けています。
お金の残し方と、そのお金の管理の仕方の両面から考える方法としては、現状では家族信託がわかりやすいのではないでしょうか。
(2024/11/02)
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