家族信託の実例3

障がいを抱えた子の親なきあと問題

 障がいを抱えた子を持つ親は、自分たちの年齢が増すにつれて、体力的な問題を考えるようになります。

子の年齢が増すにつれて、子の体の方が大きくなったりして、制御できなくなることもあります。

子の将来を考えて、せめてお金で苦労しないように、夫婦でお互いに生命保険に入ったり、貯金をしたりしている方もいらっしゃいます。もちろん、国や市町村等からの補助等もあり、金銭的には不安はないようです。

しかし、自分たち夫婦が亡くなったり、認知症になったりして、子の面倒を見れなくなった時のことを考えると不安です。

その場合、一般的には市町村長申し立てで、「成年後見人」が付くようですが、例え親の財産が子に相続されても、その財産は今の成年後見制度のもとでは子のために使うことはできません。成年後見人は財産を減らさないようにするのが目的ですから。子の人権は認められないのです。

この人権については、後で書かせていただきます。

お子様が遺言書を書けないような状況では、親の財産をもらっても、その財産は法定相続となるでしょう。子に相続人(兄弟姉妹等)がいなければ、その財産は「国庫への帰属」つまり国のものとなるのです。

つまり、親が苦労して残したお金は、子が使うこともなく、最悪国のものとなってしまうのです。

 

対策

障がいがある子に兄弟姉妹がいればその子に受託者(財産を管理運営する人)になってもらい、いなければ甥や姪に受託者となってもらい、家族信託契約を結びます。

障がいがある子の親は、とかく親族関係で閉鎖的になりがちですが、大切なお子様のために、親族の協力が必要です。

しかし、家族信託を締結したからと言って、安心して、後見制度を利用するのは、危険です。家族信託を締結していても、成年後見人を付けてしまえば、被後見人の全ての財産が後見人に管理されてしまうからです。

 

国連の勧告

今年の9月に国連から「日本の成年後見制度は差別的である」と、勧告を受けました。。

3年前に、最高裁が成年後見制度の転換を発表し、成年後見制度の運用について、身近な親族を選任することが望ましいとする考えを示しました。これをもとに家庭裁判所で成年後見制度の選任が行われるのですが、あくまでも参考資料であり、後見人の選任は事案ごとに各裁判官が判断するものだとしています。

消極的な改革です。

国連は小さな改革では満足できなかったのか、「日本の成年後見制度は差別的である」と、運用方法の改正ではなく、制度そのものを指摘しました。

 

成年後見制度の整理

成年後見制度というのは、家庭裁判所によって選任された後見人が、認知症などで判断能力の不十分な方の財産を保護するための制度です。

成年後見人は本人のために財産を守る(言い換えると「財産を減らさない」)という職務を負うことから、家庭裁判所の指揮・監督下に置かれています。

家庭裁判所の強い権限で、合意的な理由のある支出しか認められず、たとえ本人のためであっても、支出が認められない状態です。

障がいを抱えた子や、認知症になってしまった人たちには人権というものはないのでしょうか?

法的能力の制限を、家庭裁判所が許可していいのでしょうか。

以上が、国連の勧告です。

 (2022/12/03)

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